大阪 出張買取の成功談
公開買付により自己株式を買い付けようとする会社は,証券取引法166条1項が規定している業務等に関する重要事実であって,同項による公表がされていないものがあるときは,公開買付届出書を提出する日前に,当該重要事実を公表しなければならない(証取27条の22の3第1項,発行者公開買付府令11条、23条)。
公開買付期間中に重要事実が発生した場合は,直ちに当該重要事実を公表し,かつ,応募株主に対して当該公表の内容を通知しなければならない(証取27条の22の3第2項,発行者公開買付府令24条)oこれらの義務に違反し,または,虚偽の公表・通知をした会社とその役員は,損害賠償責任を負うとともに処罰される(証取27条の22の4.197条4号.207条1号)。
なお,平成'3年の商法改正により,金庫株が解禁されたことにともない,上場会社などが自己株式を「市場で」買い付ける場合(商210条9項)には,相場操縦防止の観点から,新たな証券取引法上の規制が設けられた。
これについては,相場操縦のところで述べた。
企業などが証券を発行して,事業資金を投資者から直接に調達することを直接金融という。
証券取引法は,この直接金融が行われる場合の投資者保護を目的として,有価証券届出制度を設けている。
多数の者を相手に証券の発行を行おうとする者などは,発行する有価証券の種類・価格・数量などの情報とその発行者である会社に関する情報(調達した資金の使途や各種の財務書類)を,投資者に対して開示しなければならない。
有価証券届出制度は,会社などが資金調達目的で,新規に証券を発行する場合に適用されるだけではなく,すでに発行された証券の所持人が,その証券を多数の者に対して売り出す場合にも適用される。
大量の既発行証券の所持人が,これを現金化するために,売り出すような場合である。
たとえば,国鉄・電電公社・専売公社のいわゆる3公社が民営化され,株式会社形態になった後,政府が保有するJR,NTT,JTの株式が一般に売却された。
このような場合は,証券の発行,すなわち,発行会社の資金調達とは無関係であるが,有価証券届出制度に従い,企業内容の開示が必要である。
既発行証券の売出は,証券の発行,つまり,発行会社の資金調達と関連して行われることもある。
企業が証券発行により資金調達を行う場合に,証券会社が発行される証券の全部または一部を引き受けて,証券会社の所有とし,これを売り出す場合の証券会社の売出行為がその例である。
以上より,有価証券届出制度は,新規に発行される証券の取得,または,既発行証券の買付を市場外(取引所有価証券市場や店頭売買有価証券市場の外)で,多数の者に対して勧誘する行為などに適用される制度であるといえる。
発行価額または売出価額の総額が’億円以上の,有価証券の募集(新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘)または売出(既に発行された有価証券の売り付けの申込み,または,買付の申込みの勧誘)は,適用除外証券でないかぎり(証取3条),原則として,当該有価証券の発行者が,当該募集または売出に関し,有価証券届出書とその添付書類を内閣総理大臣に提出して,その届出をしているものでなければ,することはできない(証取4条1項・5条1項・5項)。
提出された有価証券届出書とその添付書類は,受理の日から5年間,公衆縦覧に供される(証取25条1項1号)。
この届出が効力を生じて初めて(原則的には届出受理の日から15日経過した日に効力を生じる。
証取8条1項),有価証券を募集または売出により,取得させ,または売り付けることができるようになる(証取5条1項)。その際には目論見書を,あらかじめまたは同時に交付しなければならない(証取15条2項)。
以上から,有価証券の発行・売出規制は,時間の流れにおいて次の3段階に分けることができる。
@届出前は,有価証券の募集・売出をする(有価証券の取得・買付を勧誘する)ことが禁止される。
A届出後から届出の効力が生じるまでの問(待機期間)は,有価証券の募集・売出(有価証券の取得・買付の勧誘行為)をすることはできるが,当該募集・売出によって取得させ,または売り付ける(契約を締結する)ことはできない。
B届出の効力が生じた後は,募集・売出によって有価証券を取得させ,または売り付ける(契約を締結する)ことができるが,その場合は,目論見書をあらかじめまたは同時に交付しなければならない。
前述したように,国債(証取2条1項1号),地方債(証取2条1項2号),金融債(証取2条1項3号),日本銀行の出資証券(証取2条1項5号),貸付信託の受益証券(証取2条1項7号の3)などについては,証券取引法第2章「企業内容等の開示」(証取4条〜27条)の規定すべてが適用されない(証取3条)。
したがって,有価証券届出制度による開示規制の対象となる典型的な証券は,社債券(証取2条1項4号)や株券(同項6号)などである。
(a)新規発行証券,既発行証券にかかわらず有価証券届出害の提出が不要とされる場合(少額免除)有価証券の募集または売出に該当する場合は原則として有価証券届出書の提出が必要となるが,たとえ募集・売出に該当したとしても,発行価額または売出価額の総額が1億円未満の場合は,有価証券届出書の提出は不要である(証取4条1項3号)。
少額免除の規定を利用して,届出義務を回避することを防ぐため,同一種類の有価証券の募集・売出が並行して行われる場合や,同一種類の有価証券の募集・売出で,過去2年以内に行われたものについては,合算して価額の総額を計算するなどの規定が置かれている(開示府令2条1号・2号・3号)。
(b)新規発行証券に関する有価証券届出害の提出の要否(イ)有価証券の私募(届出不要)有価証券の私募とは,有価証券の募集に対する概念であり,証券取引法は,「新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘」のうち,次の2つの場合を私募として定義している。
(i)適格機関投資家のみを相手方として行う勧誘で,当該有価証券がその取得者から,適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合(「適格機関投資家向け勧誘」。
証取2条3項2号イ,証取令1条の5)。
(ii)50人未満の者を相手方として行う勧誘で,当該有価証券がその取得者から多数の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合(「少人数向け勧誘」。
証取2条3項2号ロ,証取令1条の7)。
これら2つのいずれかに該当すると,有価証券の私募となり,有価証券の募集ではないため,有価証券届出書の提出は不要である。
(ロ)有価証券の募集(届出必要)有価証券の募集とは,新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘のうち,次の2つのどれかに該当するものをいう(証取2条3項)。
(i)50人以上の者を相手方として行う場合。ただし,適格機関投資家のみを相手方とする場合は除く(多人数向け勧誘。
証取2条3項1号,証取令1条の4)。
(ii)(i)の場合以外で,次のいずれにも該当しない場合。
@「適格機関投資家向け勧誘」(証取2条3項2号イ,証取令1条の5)。
A「少人数向け勧誘」(証取2条3項2号ロ,証取令1条の7)。
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